「緑色の坂の道」vol.6994

 
    Maple Sugar 4.
 
 
 
■ ここではないどこかへ。
 例えば海沿いの道を、CL50かなにかで走る。
 兄貴の奴を黙って借りてきたのである。
 乗ってみようぜ、そうしよう。
 友人と二人で西の方へ出かけるのだが、途中でガス欠になって押す。
 リザーブがあることすら知らないのだ。
 

「緑色の坂の道」vol.6993

 
    Maple Sugar 3.
 
 
 
■ 男の子というものは乗り物が好きである。
 例外もあるだろうが、さておき。
 いい歳になっても少年期を引きずって、ああでもないこうでもないと騒いだり指先を汚したりしている。
 自転車、バイク、車、妙齢。
 それで人生の方向が変わることもあって、これはどうしたものなんだろう。
 

「緑色の坂の道」vol.6992

 
    Maple Sugar 2.
 
 
 
■ 庭園美術館の界隈は霧のようなものが出ていて、外苑西に曲がってもそれは続いた。
 時雨るるや 麻布 と、橋の名前が続く句があったように覚えているが、当時の民家と路地は思いのほか狭くて暗かったのだろう。
 ダッシュ・ボードを空けて緑色のクリームが挟まったチョコを取り出す。
 薄い薄荷の味がする。
 

「緑色の坂の道」vol.6991

 
    Maple Sugar.
 
 
 
■ 雨である。
 肌寒く、暖房を入れている。
 せんだって買ったナイロンのコートが黄色系統で、やや派手かなと思ったが馴染んでくるとそうでもない。腕などをまくって羽織っている。
 年齢とともに好みは推移するものだ。
 最終的には茶、団十郎の界隈へ近づくのだろうか。
 

「緑色の坂の道」vol.6990

 
    ツバメ 4.
 
 
 
■ いつだったか湾岸道路の辺りを走っていて、クロモリフレームのロードに乗っている人がいた。
 自転車好きな人が選ぶという国産メーカーのそれである。
 彼は半分は白髪。下にジャージのパンツをまくって履き、年季の入ったザックを背負い、耳に白いイヤホンをしている。
 メットは被っていない。
 

「緑色の坂の道」vol.6989

 
    ツバメ 3.
 
 
 
■ 今の私には、旧いORGミニの方がなんだか良さそうに見えている。
 もちろん錯覚なのだが、それはさておき。
 やり過ぎない程度に綺麗にし、鉱物油を3000km毎に換えてやる。
 後部座席にはパーツのいくつかを積み、英文の整備書が放り投げられているという按配。
 いつだったか縁があったスタンドの店長さんが正にそうだった。
 前は走り屋だったんですけどね。
 彼は半ば照れたように言っていた。