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2009年02月03日

「緑色の坂の道」vol.4251

 
     牛のキンタマ丸焼ケダ。
 
 
 
■ 緑坂の番号をつけまちがえていて、先ほど直した。
 忙しかったので、スタッフに更新を頼んでいたのである。
 しかし、私もよくやることで、スペルのミスなどはしょっちゅうである。
 
 
 
■ ま、それはそれとして。
 書棚の辺りを探っていたら、新潮文庫が一冊落ちてきた。
 伊藤信吉さんの編集になる「現代名詩選」である。
 なすすべもなく企画などにつまり、壊れかけたソファに転がっていた夜更け、それをぱらぱらと眺めた。
 中に会田綱雄さんの作品があり、この年齢になると直裁に染みる。
 
「いまでもわたしは毎朝
淡路町のフォームを幽霊のように通り抜けて
 いく
銭がないこと
天女からわたしが盗みとった羽衣のこと
木曾の蓮華の花やわらびのこと
ひらめていてはきえていく脳天に
うすい毛をはやして
家事ハドコダ
牛込ダ
牛のキンタマ丸焼ケダ」(trash より:前掲264頁)
 
 

「緑色の坂の道」vol.4252

 
     丸焼ケに串。
 
 
 
■ こんがりと焼けたものに串を挿し、それを齧ったりして毎日が過ぎていく。
 この辺りの事情を文学的に昇華したものが東海林さだおさんの「まる齧りシリーズ」である。
 あそこに出ているイラストの、歯茎やスダレのような髪の毛というのは身も蓋もないもので、たるんだ首の皺などもリアルに引いてあった。
 
 
 
■ かつて「太陽」という総合誌があった。
 そこに東海林さんが連載をされている。
 まだお若い頃、70年代半ばくらいだったろうか。
 お手前がどうの、と言っているお師匠様の傍に東海林さんがおられ、つまり取材をしているのだが、文章をよく読んでいくとただ畏れ入っているダケではないことが分かる。
 観察しちゃうんですね。
 
 

2009年02月04日

「緑色の坂の道」vol.4253

 
     月光。
 
 
 
■ 先日、ライカを修理に出した。
 視野のフレームの部分が切り替わらず、広角をつけたときにちょっと困るからである。
 修理に出すところはすこし迷ったのだが、いわゆる正規ディーラーにとりあえずはしてみた。この辺りの事情は車の場合と同じである。
 
 
 
■ 学校のすぐ傍に店舗はあって、黒い服を着たマネージャーらしき男性が金色の腕時計などをしている。
 元ジャガーかBMWのセールスをしていたかのような雰囲気である。
 もちろんここは定価販売なので、最新のデジタルは一年落ちの小型車と同じ価格をしていた。
 
 

「緑色の坂の道」vol.4254

 
     月光 2.
 
 
 
■ ほぼ一月が経って修理完了との知らせがくる。
 つまり他にカメラを持っていなければその間は撮影できない訳だが、大体ライカというカメラ自体が半ば実用品ではないのだから、それはそれ。
 かつて極めて取り回しのいい道具だった時代もあったが、それも伝説の中のお話になっている。
 
 
 
■ 白衣を着た男性から修理したボディを受け取る。
 夕方だったもので、車を停めるスペースがなく、ハザードをつけて店の前に置いた。
 ちらちら、そちらの方が気になるのである。
 
 

「緑色の坂の道」vol.4255

 
     月光 3.
 
 
 
■ レンズのオーバーホールが3万台円から。
 ボディがM6の場合、やや程度の悪い中古が買えるほど。
 この辺りをどう捉えるか、なのだが、大体今の時代に銀塩で撮ろうとすること自体、考えてみれば道楽である。
 あの手間暇と一枚辺りのコスト。
 加えてそれを例えばデジタル化する厄介さなどは、黎明期からこの世界をうろうろしている方には痛いほどお分かりになるだろう。
 
 
 
■ 写真というのは基本的に道具に依拠する芸術である。
 芸術、と私はここで書いたが、そういう側面もあるということで、クレヨンで描いた絵画が場合によっては芸術と呼ばれることもあるように、内容とその受容の仕方で大筋が規定される。
 と、あまりここでこういう話をしても野暮なのでやめにする。
 
 

「緑色の坂の道」vol.4256

 
     月光 4.
 
 
 
■ 私のM6がなぜ壊れたかというと、こころあたりがあった。
 普段使っているカメラバックは、内側が真っ赤な赤線(今は風俗というらしい)の待合室みたいなそれだが、とりあえず銀座で買った。
 後からみてみると新宿にも売っていて、それはそのとおりである。
 
 
 
■ 普段そこに無造作にデジタル一眼を入れている。
 その横のレンズを格納する辺りに時々M6を入れ、撮る機会を待っているのだが、24枚撮りのモノクロフィルムが半年経ってもなくならない。
 どういうことか、と言えば、それだけの対象に巡り会わないことと、そうしたところに出向かない私が悪い。
 
 

「緑色の坂の道」vol.4257

 
     月光 5.
 
 
 
■ あるとき、カメラバックを後部座席に放り込んでおいた。
 ブレーキをかける。
 ATE社のブレーキは結構利く。
 グニュ、という按配で同時にシートベルトがロックされる。
 ゴロンと転がり落ちたのがM6だったのだ。
 
 
 
■ なんだか調べてみると、シートにおいたライカが落ちて壊れたと泣かれている方は結構いるようで、ご同輩、ワカリマスというところである。
 これでボトル一本分なのだから、二日くらい欝になった。
 
 

「緑色の坂の道」vol.4258

 
     月光 6.
 
 
 
■ 三日目にたちあがり、修理を決意する。
 チャンドラーならこうした時、気の利いたことをマーロウに言わせるのだろう。
 今更ハードボイルドでもないので、あらゆる理屈をつけ洗面台の自らの姿に言い聞かせていた。
 歯を磨く。
 
 

「緑色の坂の道」vol.4259

 
     月光 7.
 
 
 
■ 事務所でわかいものに訪かれる。
 何故ライカなんですか。
 んー、いい質問だ。
 
 
 
■ ここで全然話は飛ぶが、私は東京會舘のケーキが好きである。
 あの辺りで打合せをしなければならない時、その喫茶室を使い、漠然と内堀、外堀通りの辺りを眺めていることが多い。
 これは昔からだった。
 
 
 
■ それでいて、車に戻ると萩原健一さん歌う「大阪で生まれた女」を流していた。
 これで青春も終わりかと呟いて、というフレーズに薄く泣くわけである。
 
 

「緑色の坂の道」vol.4260

 
     月光 8.
 
 
 
■ おそらく、ではあるけれども。
 これから先、私はライカのカメラを使っていくだろう。
 多分、使い倒すところまでいくのかも知れない。
 レンズは多分二本か三本。
 露出計、別になくてもいいんじゃないかというような気もする。
 
 

2009年02月09日

「緑色の坂の道」vol.4261

 
     月の光に。
 
 
 
■ 与太はこの辺りにして。
「緑色の坂の道」では新しいシリーズを作ることにした。
 -月光- Monochrome-Flash である。
 
 
 
■ 画像をクリックすれば大体のことは分かると思う。
 Flashを使った表現。かなりの高解像度で見せている。
 暫定で一定の大きさで別ウィンドウが開くようになっている。
 
 

「緑色の坂の道」vol.4262

 
     夜間戦闘機、月光。
 
 
 
■ 緑坂に何度か書いているが、私は「丸」という雑誌が好きである。
 古本屋でみつけては適当に買い、大体隅から隅まで読んで役目を終える。
 ヤクト・パンツァーの前部装甲が何ミリであっても、いまの仕事や生活に一切関わりはないのだが、成程と思って漠然と眺めている。
 奇妙な精神論と、持たざるが故の寂しさと。へにこそしなめ。
 
 
 
■ 巻末にある当時の体験記が面白い。
「麦と兵隊」や大岡さんの「野火」とはまた違う角度、半ば民俗学的見地からの実態と、それを現在語れるだけの距離、いささかの余裕とが毎号繰り返されていた。
 つまり死んだ者は語れないのである。
 
 
 
■ 本土防衛が絶望的になりかかる頃合、斜め銃を装備した夜間戦闘機が配備される。
 双発の中島製エンジンを積んだ「月光」である。
 B29が巡回する高度一万メートルまで昇れる戦闘機は皆無だった。
 
 

2009年02月12日

「緑色の坂の道」vol.4263

 
     はやい桜と。
 
 
 
■ あるとき、都心にあるホテルへ出かける。
 ひとりである。
 坂道を昇ってしばらくいくと、警邏の警官が立っていた。
 
 
 
■ ロビーに薄桃色の桜がある。
 しばらくぼんやりしながらそれを眺めている。
 大振りだが派手ということもなく、そこに野がある気配がする。
 
 

「緑色の坂の道」vol.4264

 
     はやい桜と 2.
 
 
 
■ 私はブルゾンで、片手だけ腕まくりしていた。
 単なる癖で、外は結構寒い。
 上へあがり、AVOの短いのとマンハッタンを嘗める。
 いやなことたくさんあるけどさ、ま、こんなものだろう。
 ちらりと見ただけのもの。