はやい桜と 2.
■ 私はブルゾンで、片手だけ腕まくりしていた。
単なる癖で、外は結構寒い。
上へあがり、AVOの短いのとマンハッタンを嘗める。
いやなことたくさんあるけどさ、ま、こんなものだろう。
ちらりと見ただけのもの。
2009年2月 Archive
- :緑坂 :saka :写真ポスター : デザイン写真ポスター :エッセイ :コラム :コピー :Photo Design Poster.by kitazawa | 北澤事務所
はやい桜と。
■ あるとき、都心にあるホテルへ出かける。
ひとりである。
坂道を昇ってしばらくいくと、警邏の警官が立っていた。
■ ロビーに薄桃色の桜がある。
しばらくぼんやりしながらそれを眺めている。
大振りだが派手ということもなく、そこに野がある気配がする。
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夜間戦闘機、月光。
■ 緑坂に何度か書いているが、私は「丸」という雑誌が好きである。
古本屋でみつけては適当に買い、大体隅から隅まで読んで役目を終える。
ヤクト・パンツァーの前部装甲が何ミリであっても、いまの仕事や生活に一切関わりはないのだが、成程と思って漠然と眺めている。
奇妙な精神論と、持たざるが故の寂しさと。へにこそしなめ。
■ 巻末にある当時の体験記が面白い。
「麦と兵隊」や大岡さんの「野火」とはまた違う角度、半ば民俗学的見地からの実態と、それを現在語れるだけの距離、いささかの余裕とが毎号繰り返されていた。
つまり死んだ者は語れないのである。
■ 本土防衛が絶望的になりかかる頃合、斜め銃を装備した夜間戦闘機が配備される。
双発の中島製エンジンを積んだ「月光」である。
B29が巡回する高度一万メートルまで昇れる戦闘機は皆無だった。
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月の光に。
■ 与太はこの辺りにして。
「緑色の坂の道」では新しいシリーズを作ることにした。
-月光- Monochrome-Flash である。
■ 画像をクリックすれば大体のことは分かると思う。
Flashを使った表現。かなりの高解像度で見せている。
暫定で一定の大きさで別ウィンドウが開くようになっている。
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月光 8.
■ おそらく、ではあるけれども。
これから先、私はライカのカメラを使っていくだろう。
多分、使い倒すところまでいくのかも知れない。
レンズは多分二本か三本。
露出計、別になくてもいいんじゃないかというような気もする。
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月光 7.
■ 事務所でわかいものに訪かれる。
何故ライカなんですか。
んー、いい質問だ。
■ ここで全然話は飛ぶが、私は東京會舘のケーキが好きである。
あの辺りで打合せをしなければならない時、その喫茶室を使い、漠然と内堀、外堀通りの辺りを眺めていることが多い。
これは昔からだった。
■ それでいて、車に戻ると萩原健一さん歌う「大阪で生まれた女」を流していた。
これで青春も終わりかと呟いて、というフレーズに薄く泣くわけである。
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月光 6.
■ 三日目にたちあがり、修理を決意する。
チャンドラーならこうした時、気の利いたことをマーロウに言わせるのだろう。
今更ハードボイルドでもないので、あらゆる理屈をつけ洗面台の自らの姿に言い聞かせていた。
歯を磨く。
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月光 5.
■ あるとき、カメラバックを後部座席に放り込んでおいた。
ブレーキをかける。
ATE社のブレーキは結構利く。
グニュ、という按配で同時にシートベルトがロックされる。
ゴロンと転がり落ちたのがM6だったのだ。
■ なんだか調べてみると、シートにおいたライカが落ちて壊れたと泣かれている方は結構いるようで、ご同輩、ワカリマスというところである。
これでボトル一本分なのだから、二日くらい欝になった。
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月光 4.
■ 私のM6がなぜ壊れたかというと、こころあたりがあった。
普段使っているカメラバックは、内側が真っ赤な赤線(今は風俗というらしい)の待合室みたいなそれだが、とりあえず銀座で買った。
後からみてみると新宿にも売っていて、それはそのとおりである。
■ 普段そこに無造作にデジタル一眼を入れている。
その横のレンズを格納する辺りに時々M6を入れ、撮る機会を待っているのだが、24枚撮りのモノクロフィルムが半年経ってもなくならない。
どういうことか、と言えば、それだけの対象に巡り会わないことと、そうしたところに出向かない私が悪い。
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月光 3.
■ レンズのオーバーホールが3万台円から。
ボディがM6の場合、やや程度の悪い中古が買えるほど。
この辺りをどう捉えるか、なのだが、大体今の時代に銀塩で撮ろうとすること自体、考えてみれば道楽である。
あの手間暇と一枚辺りのコスト。
加えてそれを例えばデジタル化する厄介さなどは、黎明期からこの世界をうろうろしている方には痛いほどお分かりになるだろう。
■ 写真というのは基本的に道具に依拠する芸術である。
芸術、と私はここで書いたが、そういう側面もあるということで、クレヨンで描いた絵画が場合によっては芸術と呼ばれることもあるように、内容とその受容の仕方で大筋が規定される。
と、あまりここでこういう話をしても野暮なのでやめにする。
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