2005年09月12日
「緑色の坂の道」vol.3364
THE WAY
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LOOKS.
「緑色の坂の道」-甘く苦い島-.
■ この作品集の標題は、パウル・クレーの1938年の作品から拝借引用している。
「甘く苦い島」(Insula Dulcamara)という言葉自体は、ラテン語の「Dulcis」(甘い)と「Amarus」(苦い)という単語からの造語になる。
二極分離したもの、その概念の衝突。
この頃のクレーが、義理の娘に書いた手紙から引用してみる。
「世の中は簡単に消化できる事柄だけでなりたっているのではないということにがっかりしてはいけない。重苦しさも結局は他の力とうまく平衡がとれるのだという希望を捨ててはならない。
そして私達はそれぞれの好みによって、甘いものと苦いものを二つのお椀から取って味わうべきなのだ。注意深さと知性があれば、だれも大きな幻想に屈することはないだろう」
(「klee」Susanna Partsch著:80頁:ベネディクト・タッシェン出版)
■「大きな幻想」というのが、ドイツ第三帝国の野望であったことは言を待たない。が、そうした時代背景を抜きにしても、クレーの言葉にはある種普遍性が含まれている。
近年好景気に沸くアメリカ。その近代化の過程や、現在と未来のある意味で集約的磁場であるNY・マンハッタン島をひとことで顕すのなら、なんという言葉がふさわしいのだろう。
甘く、しかも苦い島。
マンハッタン島というのは、外側を微かになぞっただけの人間にとっても、そこに住んでいる多様な肌と階層の人々にとっても、錯綜する概念と現実、その衝突と調整の場所のように思える。
そして、私たちの住んでいるこの土地というものも、その色濃さや密度・構造は別として、甘く苦い島であるのだと私は思う。
○初稿:1999年12月。本作品集のあとがきより。
全41枚を眺めるにはこちら。
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